2泊3日のキャリアブレイク合宿にて詩の創作ワークショップをさせていただきました

2024年6月末、梅雨の風情が残る神奈川県厚木市。一棟貸し切りの素敵な宿を舞台に、キャリアブレイク(休職・離職などによって一時的に仕事から距離を置き、人生の小休止を選択している状態)の渦中にいる方々を対象とした2泊3日の滞在型プログラム『Our Dance Floor〜短期滞在型プログラム〜』が開催されました。
本プログラムは、「キャリアブレイクを文化に」というミッションを掲げる一般社団法人キャリアブレイク研究所さん主催のリトリート。ライフダイアローグはプログラム内の2つのワークショップを担当させていただきました。
「合宿が終わったあと、参加者の皆さんが少しでも希望を持って、マイペースに進んでいけそうと思える時間にしたい」
そんな願いを胸に、キャリアブレイク研究所理事であり、ナビゲーターのまっくすさん、むしょく大学運営のまいさん、みづきが共に場を創り上げました。
何をするでもない「余白」と「間」が、それぞれの内側にある真実を呼び覚ましていった、愛おしい3日間の軌跡をレポートします。

【1日目】偶発的な対話が生んだ、サウナの魔法と心の吐露
宿に完備されていた本格的なフィンランド式サウナ。このサウナが、1日目の夜に予期せぬ美しいドラマを生み出すことになります。
夕食のBBQを終え、ゆったりとした時間が流れ始めた頃。サウナに挑戦してみたいけれど熱さが怖いと不安を口にする参加者のさきちゃん(仮名)と共に、サウナへと向かいました。シダーウッドのアロマ水でロウリュを楽しみ、じっくりと汗をかいたあと、水風呂、そして外室での「ととのいタイム」へ。
鈴虫の音が響く6月の心地よい夜風に包まれ、心身が限界まで緩んだとき、さきちゃんがぽつりぽつりと、休職に至るまでの葛藤を話し始めてくれました。
「パニック障害になって休職したんです。
上司におかしいと思ったことをついつい言ってしまう。だからきっと可愛くないし、みんな最後には離れていってしまうんです」
雲間から顔を出す月を眺めながら、その声をじっくりと聴き、対話を重ねました。
目を潤ませながら、仕事や家族への想いを語り尽くしてくれたさきちゃん。
2回目のサウナに向かう頃には、最初に見せていた不安な表情は消え去り、今にも眠ってしまいそうなほど解放されたうっとりとした笑顔を浮かべていました。
プログラムとして用意された時間ではなく、安心安全な「余白」の中で偶発的に起こる対話こそが、人のほんとうの感情と、その奥にある願いを呼び覚ます。まさにサウナの魔法が、心と心の境界線を溶かした瞬間でした。
【2日目】ヨガ、瞑想、そしてキャンドルを囲む詩の創作
2日目の朝は、差し込む眩しい光の中で、みんなで相談してプログラムを急遽変更することから始まりました。夜遅くまで語り明かした場のまったりとした空気感からみんなで選択したのは「ヨガと瞑想」。

リビングの大きなモニターにYouTubeを映し、心地よく身体を動かし、静かに呼吸を整える時間。言葉は交わされなくても、それぞれが思い思いに1日目を振り返り、今ここにある自分を見つめる静謐な余白が流れていました。
午後は哲学対話をしたり、近くのチョコレート屋さんまでお散歩に出かけたり、映画を観たり。 そして夜には、キャンドルの柔らかな光を囲み、みづきがイギリスのシューマッハ・カレッジで体験した「詩の創作ワーク」を実施しました。

言葉は芸術の最小単位。 内側に湧き上がる想いをただ紡いでいく時間は、意図せずとも一人ひとりの個性やエッセンスが溢れ出てしまう、うつくしい時間となりました。まるで一つのシェアハウスで暮らしているかのような、日常でありながらも特別な夜がやさしく過ぎていきました。
【最終日】「あなたは天才!」それぞれのマイペースを祝福し合う
最終日の朝は「予祝日記」からスタート。ここでも、全員が足並みを揃えて一斉に始めるのではなく、準備ができた人からマイペースに書き始める光景が広がっていました。社会のルールに縛られず、それぞれの余白を尊重し合える関係性が、この3日間で自然と育まれていたのです。
振り返りの時間には、まっくすさんプレゼンツ、お互いの良さを認め合う「天才ワーク」を行いました。 2泊3日を共にした仲間へ、「あなたは〇〇の天才!」という付箋を言葉と共に手渡していきます。
- 「あなたは、火を絶やさないでくれた機械探究の天才!」
- 「あなたは、誰も置いていかない思いやりの天才!」
- 「あなたは、内省の天才!」「情熱の天才!」
気恥ずかしそうに、だけど心から嬉しそうにメッセージを受け取る参加メンバーたち。与える側も受け取る側も、幸せなエネルギーで満たされ、最後は涙を浮かべながらハグを交わす、あたたかな色の空気に場が包まれました。

場の主催者が「自然体(Being)」であるということ
今回の合宿中、ナビゲーターのまっくすさんとみづきがもらった天才ワードには、不思議と共通点がありました。
それが「自然体の天才」「ナチュラルの天才」という言葉です。
事前に綿密な打ち合わせをしたわけでも、ルールを決めたわけでもありません。しかし、主催者側が「ありのままでいること」を何より大切に体現していたからこそ、場全体にその安心感が伝播していったのです。
参加者の一人からも、こんな嬉しい言葉をいただきました。
「運営のみなさんが無理に私たちをウェルカムするのではなく、
気を遣うでもなく自然体でいるのを見て、私も気を使いすぎなくていいんだなと感じられました」
真実の声は、真実の声を呼び覚ます。 自己犠牲や見返りを求めるのではなく、主催者自身が満たされた状態で自然体でいること。「場づくりは在り方(Being)が9割」という大切な真理を、改めて実感させてもらいました。
結び:今あるものさしでは測れない、キャリアブレイク合宿の価値
ナビゲーター陣での振り返りの中で、「合宿、プログラム、リトリート、どれも言葉がしっくり当てはまらない時間だった」という意見が出ました。
この3日間で得られたものは、現代の社会が求める分かりやすいメリットや成果ではないかもしれません。しかし、ここには確かに、今あるものさしでは測れない大切な体感覚がありました。
- 言葉になりにくい「ただ共にいる」という共同体感覚の回復
- 他者や自分への信頼の回復
- 感情の解放、本音の表現
- すべてを一人で抱え込まず、できる人ができることをやる相互扶助への移行
【参加者の感想】
「楽しいのに疲れない時間だった。無理しないほうが長く続けられることに気づいた」
「色んな自分を受け入れて、自分を解放していく時間だった」
「今まで周りに嫌われたくないために背伸びした自分を演じるのを止めて、ありのままで過ごせた」
キャリアブレイク合宿とは、「余白の中でこそ、ありのままの自分が浮き彫りになる時間」。
自分の感性を大切に表現し、相手の感性を大切に聴き合う。ずっと願ってきた世界が、この厚木の地で小さく、美しく実現していました。
企画に誘ってくださったキャリアブレイク研究所の皆様、実験を共にしてくれたナビゲーターのまいさん、そして勇気を持ってこの場に飛び込み、共に時間を紡いでくれた参加者の皆さん、本当にありがとうございました!
★キャリアブレイク研究所が運営するむしょく大学(コミュニティ)もお勧めです!