自己理解イベント開催レポート

内省の先にある「表現」が人生を動かす。――『あなたの"喜び"を歌にするワークショップ』を開催しました

内省の先にある「表現」が人生を動かす。――『あなたの"喜び"を歌にするワークショップ』を開催しました

2024年7月15日、海の日。潮の香りが漂う神奈川県小田原市にて、特別なワークショップが開催されました。
その名も、『あなたの"喜び"を歌にするワークショップ』

ボイストレーナーでコーチ仲間のケイさんとの初のコラボレーションが実現。都会の喧騒を離れた小田原で、参加者の皆さんと共に「自分の中の真実」を言葉にし、メロディに乗せて解き放つ濃密な一日となりました。

「自己理解を深めるだけでは、人生は変わらない」。 そんな気づきが生まれたこのワークショップ。内省(インプット)と表現(アウトプット)が交差する時、場にどのような化学反応が起きたのか。その軌跡をレポートします。


音楽を愛する二人が出会い、小田原の海で結実した企画

今回の企画は、2人の対話から始まりました。 コーチ仲間として3年来の付き合いがあるケイさんとみづき。Mrs. GREEN APPLEの元マネジャーとして音楽業界の最前線にいたケイさんと、Mr. Childrenの音楽に人生を支えられてきたみづき。

音楽への深い愛と、「人が自分の創造性に目覚める場を作りたい」という共通の願いが、ケイさんの小田原移住というタイミングと重なり、このワークショップは産声をあげました。


内省と対話:心の奥底に眠る「言葉の素材」を掘り起こす

ワークショップの前半は、ライフダイアローグのみづきが担当し自己理解を深めるワークショップを開催しました。
午後予定している歌詞づくりの「素材」となる、自分自身の価値観や感情を丁寧に紡いでいきます。

【実施したワーク】

  • マイソング・ダイアログ お気に入りの一曲から、人生で大切にしていることを語り合う。
  • 問いのカードワーク カードをきっかけに、普段は蓋をしている感情にスポットを当てる。
  • 感情MAP作成 人生の物語を振り返り、心が動いたエピソードを可視化する。

ここで重要だったのは、一人でノートに向き合うのではなく、「他者の存在」がある中で内省し、聴き合うことでした。

自分が大切にしている歌詞を語ったとき、それを聴いた他者から贈られる言葉のギフト。自分では気づいていなかった本質を他者の目線で捉え直してもらうことで、参加者の皆さんの表情が、みるみる柔らかく、温かくなっていくのが印象的でした。

また、一人ひとりのマイソングを語ってもらうことで、初対面の人同士でもその人らしさが溢れ、ぐっと距離が縮まった時間でした。


創造の苦しみ:綺麗な言葉を捨て、自分の内側にある「真実」を選ぶ

午後からは、集まった素材を調理し、歌詞にする「創造フェーズ」へと移ります。 ケイさんから提示されたテーマは、非常にシンプルで、かつ鋭いものでした。

「あなたの中にある真実を歌にしてください」

アコースティックギターの音色が流れる中、会場は静かな沈黙に包まれました。 「耳障りの良い、それっぽい言葉」で逃げようとする自分と、泥臭くても「自分の本当の想い」を形にしようとする自分。それぞれの参加者は自分の内側を感じ、見つめる生みの苦しみに直面しました。

【エピソード】「先生、ありがとう」―― 過去の自分と和解する歌

わたしたちが大事にしていることのひとつに「共に学びあう」在り方があります。そのため、ファシリテーターのみづきも午後は参加者のひとりとなって歌詞づくりのワークに取り組みました。

最初は、耳触りのよい、無難な歌詞を書こうとしていました。しかし、ケイさんの奏でるメロディを聴いた瞬間に蘇ったのは、なぜだかわからないけれど不登校だった中学時代の記憶だったのです。

学校に行けたり行けなかったりしても、一人の人間として尊重し、放課後に一緒にギターを弾いてくれた教頭先生とのワンシーン。
当時は恥ずかしくて言えなかった「ありがとう」という言葉。

記憶が湧き上がると同時に、「こんな個人的なエピソードを歌にしていいのだろうか?」という不安が湧いてきます。しかし、仲間の「置きにいく(無難にまとめる)のはやめた」という言葉に背中を押され、わたしは安牌を捨てました。 震える声でケイさんに想いを伝え、言葉を紡いでいく。内側の真実に触れたとき、涙が溢れました。そうして生まれたのが、『先生、ありがとう』という一曲でした。


恥ずかしさという「エッジ」を超えて:全員によるお披露目ライブ

ワークショップのハイライトは、自ら作ったオリジナルソングを、参加者全員の前で披露するミニライブです。

ステージに立つ。人前で歌う。 それは、音楽家やアーティストではない多くの人にとって、大きな「恥ずかしさ」を伴う行為です。しかし、この「恥ずかしさを超えること」こそが、実は本ワークショップのメインディッシュでした。

「緊張する!」という声が飛び交う中、一人ひとりが自分の名前、自分の言葉、自分の声で、真っ直ぐに歌を放つステージはプロのコンサート以上に心震える時間でした。

参加者の声

人前で歌を歌うことが苦手な僕とってはハードなワークでした。 自分と向き合い、出てくる言葉をメロディに乗るような歌詞として表現する。つな学のメインテーマの音楽バージョン。 しっかりと自分と向き合い、出てきた言葉をケイ先生や周りの人に相談しながら、苦しみながら、なんとか出来上がった自分の生み出した歌詞。 それはとても愛おしい、愛すべき自分自身でした。 その歌は歌われなければならないと思いました。いつしか、どのように歌えば良いかという、表現の方向に思考はシフトして、人前で歌うことが苦手というイメージはすっかりなくなってました。(T・Sさん)

みんなで同じメロディを聞いて、歌詞を作ったけれど、本当に様々な捉え方で、1人も同じ歌詞は生まれてこなかったし、出てきた歌がお世辞抜きで本当に全部素敵だなと感じて、大した事ないなんて思った歌は1つもなくて、とっても愛おしい気持ちになりました。
「私にもなにか生み出せちゃった!」というのはとっても嬉しい体験でした。クリエイティブな場ってとってもワクワクするな〜と思いました。(M・Tさん)

歌い切った後の皆さんの顔は、サウナ後の「ととのった」状態のような、高揚感とスッキリとしたエネルギーに満ち溢れていました。


結びに:なぜ「表現すること」が必要なのか

なぜ、私たちは「創作」や「表現」を大切にするのか。 アート(表現)とは、「内側(精神)」と「外側(身体・世界)」を結びつけるという意味があります

自分の内側を深く見つめる「内省」だけでは、サイクルは半分しか回っていません。見つめたものを外に放ち、自分の声として身体に響かせ、他者からのフィードバックを受け取る。この循環(サイクル)があって初めて、人の人生は動き出します。

アートは特別な才能を持つ人のものではありません。 自分の中にある「喜び」や「真実」を形にし、世界に手渡すこと。その勇気が、自分自身の殻を破り、新しい日常を作っていく力になります。

小田原の海辺で生まれたいくつもの歌は、参加者の皆さんの人生を紡いでいく新たな一歩となりました。

We are all Artist. あなたの中にある真実も、いつか美しい作品になりますように。

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