「集団浅慮」をもとに、本質的なダイバーシティへ向けた人権とビジネスを考える対話会

組織の中に多様な人材が集まっていても、なぜか結論が「無難なもの」に落ち着いてしまったり、特定の空気感に流されてしまったりすることはありませんか?
一般社団法人カンパニアと共同開催いたしました「集団浅慮対話会」では、心理学や組織論の視点から、私たちが無意識に陥ってしまう「集団浅慮(グループシンク)」のメカニズムと、それを乗り越えるための対話のあり方について深い議論が行われました。
日本社会のダイバーシティの実現のため、明日から実践できるヒントが詰まったイベントの様子をレポートします。
1. 「集団浅慮(グループシンク)」とは何か?
イベントの冒頭では、まず今回のメインテーマである集団浅慮についての解説から始まりました。
集団浅慮とは、高い結束力を持つグループが、合意を優先するあまり、批判的な思考や代替案の検討を放棄し、不合理な意思決定を下してしまう現象を指します。
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ー「場の空気を壊したくない」という心理的バイアス
ーリーダーの意向への過度な忖度
ー外部情報の遮断
これらは、たとえ優秀な個人が集まっていたとしても、組織として「愚かな判断」をしてしまうリスクを孕んでいます。
2. あなたの組織は今どのフェーズ?
今回の対話で特に印象的だったのは、「自組織はダイバーシティのどのフェーズにいると思いますか?」という問いに対して、様々な意見が飛び交ったことです。
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参加者からは、「ダイバーシティな視点を取り入れようとしており、組織なルールはあるが、表面的で、第二段階に移ろうとしているが第一段階です。」「前提が違っていいというルールの対話コミュニティに所属しているので第三段階かな」といったそれぞれの所属組織の多様な経験が交わされました。
また、「人と違うこと、個性を大事にする」文化が前提にある組織は、逆に「出る杭にならなければその組織では評価されない」という逆向きの凝集性がある、といった視点も興味深い考察でした。
参加者のみなさんとの対話を通じて、真のダイバーシティを活かすには、「異なる意見を歓迎し、衝突を恐れない対話の土壌」が必要不可欠であるヒントがもたらされました。
3. 組織の凝集性がもたらす負のループ
参加者からは、「形式的なダイバーシティが進んでも、結局は力のある人の意見に集約されてしまう」「同調圧力が強い組織では、多様な視点は単なる『ノイズ』として処理されてしまう」といったリアルな課題感が共有されました。
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対話会の後半では、凝集性の高い組織に起こりやすい「意見の言い出しにくさ」をどのように解消するかに焦点が当たりました。
- 「無知だと思われたくない」という壁を壊す: リーダー自らが失敗や弱さを開示する(自己開示)ことの重要性。
- 「あえて反対の声を唱える役割」を設ける: 組織の中に、意図的に反対意見を出す役割を置く工夫。
- 問いのデザイン:問いのカードを用いて、第三者が問いを出す仕組みづくりで新しい視点を強制的に入れる。
- 少数派の数を3割に増やす:発言がその組織における役割の代表(トークン)にならないように環境面から数を増やす。
- 人材の流動性を確保する:1社しか経験がなく、他企業を知らない人材が増えると凝集性が高まるため、人材の流動性を歓迎する企業風土をつくる。
などなど、参加者からは様々なアイデアが集まりました。
4. 参加者の声:対話から生まれた気づきと体感
今回の対話会には、職種も年代も異なる多様な方々が集まりました。参加者の皆さんが会場(オンライン)で感じた、参加者アンケートの一部をご紹介します。
■ 「異質性」が心地よい安心感に変わる体験
「当初は重いテーマだと思っていましたが、異質性が保障されると、こんなにも爽やかで広がりを感じるのか!と感激しています。『違い』に目を向けることを丁寧に促してくれる場で、否定し合うのではなく、その違いを面白がり、尊重したくなる空気が生まれていました。」
■ 属性を超えた対話が、視座を広げる
「共通の話題で異なる仕事や立場の人と話すことで、自分の理解も深まったと感じます。ブレイクアウトルームで多くの方の意見に触れたことで、このテーマについてのさまざまな視座や想いを受け取ることができ、刺激に満ちた時間でした。」
■ 「人権」を知識ではなく、体感として理解する
「『尊重されている・されていないとき』というテーマだけでも、気づきや発見が数多くありました。『人権』という言葉を頭での理解ではなく、体感として捉え直す良い機会になりました。異質性があってもよいと思える安心感のある世界を作っていきたいと切実に思いました。」
■ 勇気を出して言葉を置いてみる
「いろんな年代や立場の人が集まり、それぞれの視点から「尊重されるってどういうこと?」「尊重されないってどういうこと?」を考えられたのが、とても良い体験でした。違いがあっても否定する方向に行かず、むしろ「その違いを面白がれる」「尊重したくなる」空気が生まれていたのが、すごく良かったです。もっといろいろ聞きたい、話したい!という気持ちになりました。」
5. おわりに:対話が組織の知性を呼び覚ます
今回の対話会を通じて見えてきたのは、集団浅慮は決して他人事ではなく、どの組織でも起こりうる「人間共通のグループダイナミクス」であるということです。
効率性や合意形成が重視されるビジネス現場だからこそ、あえて立ち止まり、違和感を言葉にする「対話」の時間が、組織の創造性を守る鍵となります。
「Life Dialogue College」では、これからも自分自身と向き合い、他者との深い対話を通じて、より良い社会や組織を築くための場を提供していきます。

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