正解のない問いに立ち向かう。成蹊大学にて就活生向けキャリアデザイン講義を実施しました

成蹊大学にて、文学部の3年生を対象とした就職活動支援講座の講師を務めさせていただきました。
大学3年生という時期は、誰もが「自分は将来、何をしてどう生きたいのか」という大きな問いに初めて直面するタイミングです。キャリアの軸が定まっている学生もいれば、進路に迷いを感じている学生もいます。特にSNSを通じて常に周囲の状況が可視化される現代において、思うように進まない焦りや不安は、かつてないほど切実なものとなっています。
今回の講義では、単なるテクニックに留まらない、人生を自らデザインするための「マインドセット」と、採用の最前線を知る立場からの「就活のコツ」をお伝えしました。
「育てる新卒」から「経験者並みの新卒」へ。激変する就活前線
現在も採用面接の現場に携わる中で感じるのは、学生に求められる期待値の劇的な変化です。今の就職活動では、インターン経験があることはもはや前提となりつつあります。
学業や部活に打ち込んできた学生と、早期から実社会で業務経験を積んできた学生。両者の間には、語られるエピソードの具体性や思考プロセスにおいて、埋めがたい差が生じているのが現実です。「新卒は入社後に育てる」というかつての常識は薄れ、あたかも経験者採用のようなシビアな視点が注がれています。
こうした厳しい現状を踏まえつつ、私はあえて「ハウツー(やり方)」に終始するのではなく、「あり方(マインドセット)」を重視したプログラムを構成しました。
「評価される試験」から「自分自身の正解を導くプロセス」へ
これまでの教育課程において、多くの学生は「いかに正解を答えるか」という試験を繰り返してきました。しかし、就職活動にはあらかじめ用意された正解はありません。問われているのは設問への回答ではなく、「自分の人生にとっての正解」を自ら導き出す力です。
講義前、多くの学生は就活を「評価されるだけの試験」と捉え、緊張した面持ちで座っていました。しかし、対話やワークを通じて視点を転換していく中で、「自分たちもまた、企業を選ぶ立場にある」という主体的な感覚が芽生えていく様子が見て取れました。

講義後、一人の学生がキラキラした表情で駆け寄ってこんな風に伝えてくれました。
「実は私、服が大好きなんです。服飾関係の仕事に就きたいと思っています!」
自らの願い(軸)に気づき、言葉にした瞬間、人の表情はいきいきと輝き出します。その変化こそが、キャリア支援の真の価値だと実感した瞬間でした。
「過保護」は人をパワーレスにする。大人たちが担うべき役割
私たちは、教える側・教えられる側という固定された関係性の中で、自分に選択権があることを忘れがちな環境に身を置いています。人生の答えのない問いに直面したとき、学生が混乱し戸惑うのは、ある意味で必然かもしれません。
親や教員は良かれと思ってアドバイスをし、失敗の少ない選択肢を提示します。しかし、「ケア」と「過保護」は紙一重です。先回りして答えを与えてしまう過保護な関わりは、本人が本来持っている力を奪い、パワーレスにしてしまうリスクを孕んでいます。
だからこそ、教育に携わる私たち大人が、自らのパワーの使い方を意識し、学生が自ら考え、選び、歩み出せる場をデザインしていく必要があります。
未来を創る学生たちと対話したこの時間は、私にとっても「それぞれのパワーや個性を思い出す場をファシリテートする仲間を増やしていきたい」という願いを再確認する貴重なひとときとなりました。

成蹊大学のみなさん、ありがとうございました!
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