ファシリテーション講座開催レポート

「共通のメガネ」が職員室に新しい風に。鹿児島県内の公立中学校で、生徒指導研修を実施いたしました

「共通のメガネ」が職員室に新しい風に。鹿児島県内の公立中学校で、生徒指導研修を実施いたしました

鹿児島県のある中学校にて、全教職員30名を対象とした生徒指導研修の開発およびファシリテーションを担当させていただきました。

今回の研修が実現した背景には、1人の先生の「もっと早くこの叡智を知っていれば、生徒との関わり方が違ったのに!」という切実で熱い想いがありました。日々、多忙を極める学校現場で生徒一人ひとりと誠実に向き合う先生方の姿に、私自身も「なんて尊いお仕事だろう」と心を動かされながら、事前のミーティングで組織の状況や研修のゴールなどのすり合わせを重ねてきました。

現場が抱える課題は多岐にわたりました。

「指導方針のズレで教員同士が対立してしまう」
「急増する不登校の生徒に対して、どうアプローチすべきか」

こうした切実な声に応えるべく、役職や立場の異なる先生方への個別ヒアリングを何度も実施。その結果、「教員同士の関係性と、生徒への関わり方の構造はリンクしている」というプロセスワークの視点と人間理解の叡智を軸にした、独自のプログラムに至りました。


オンラインが生んだ「内省」と「対話」の新鮮な時間

今回は「校内でのオンライン研修」という形式をとりました。オンラインだからこそ、今回は特に一方的な講義にならないようペアワークや対話の時間を多く設計しました。普段、顔を合わせている先生方が、あえて個別の空間からデバイスを通じて参加する。この試みが、予想以上の効果をもたらしました。

個の空間に身を置くことで、周囲を気にせず自分自身と深く向き合う時間が確保され、チャットやブレイクアウトルームを活用することで、これまで話す機会の少なかった先生同士がフラットに対話を深めるきっかけとなったのです。先生方からは「この形式が逆にリラックスできて新鮮だった」「教員同士がゆっくり話す時間になった」といった前向きな反応をいただきました。


手法(Do)の前に、あり方(Be)を問い直す

研修終了後のアンケートには、単なる指導スキルの習得を超えた、深い自己洞察が数多く寄せられました。

「これまで『諭す』ことばかり考えていた。聴く側にも主体性や能動性がいることに気づきました。」

「生徒だけでなく、自分の状態を観察することの大切さに気づいた。ファシリテーションって奥深い!」

相手を理解している『つもり』になっていた。自分の視点も疑って生徒と接していきたい。」

「学校の子どもたちはもちろん、わが子との向き合いに今回の学びをいかしていきたい。」

特に印象的だったのは、多くの方から「自分自身の考えを言葉にすることに慣れていない」という気づきがあったことです。教員は「伝える側」である時間は長いものの、一人の人間として自分自身を語る、あるいは役割を脇に置いて声を聴き合う機会は、驚くほど少ないのが現状かもしれません。


「共通のメガネ」が職員室に新しい風を吹かせる

かつて企業人事をしていた頃、「たかが研修」という言葉を耳にすることもありました。現場が忙しい中、一斉研修に時間を割くことへの抵抗感は、どの組織にも存在するものです。

しかし、今回のように組織の中の1人が声をあげて「みんなに広めたい!」と周囲を巻き込んだ研修は、確実に現場の空気を変える力を持っていることに気づかされました。 今回の研修のゴールは、単に知識を増やすことではありません。チームが「共通のメガネ(共通認識)」を持つことで、職員室に新しい会話の種をまくこと。そして、手法(Do)を学ぶ前に、あり方(Be)を問い直し、人間理解(Why)を深めること。 これだけで、組織としてのレジリエンスは飛躍的に高まります。

企画から伴走してくださったY先生、H先生、I先生。「もっと早く知っていれば」という悔しさを熱意に変え、周囲を巻き込んで学校全体に新しい風を吹かせようとするその行動力に、ファシリテーターである私自身が最も勇気づけられ、学ばせていただきました。

「わたしたちはどういう学校を創っていきたいのか」、それぞれの願いや想いとつながり、それを未来を創るエネルギーに変えていく。そんな先生方の実践を、これからも私たちはチームの関係性構築、対話、そして内省の支援を通じて伴走し続けていきます。

変化を恐れず、真摯に自分と向き合ってくださった30名の先生方、本当にありがとうございました!

★学校研修(生徒指導研修/メンタルヘルス研修/チームビルディング研修など)を随時承っております。お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。